2011年5月26日木曜日

教えて   胡桐涙の実態と歯科利用

 本文中に記された内容によると、樹液が歯科や薬用につかわれていたようです。この内容は東洋文庫の貴重書によると、「前漢書」にも記され、伊藤圭介著の植物図説にも記されています。どんなものか、捉えてほしいのです。 植物はその育った土地でこそ、住民に特有な益をもたらすように思います。

この木に昆虫が穴を開け、樹液がしたたり、人の涙に似ていたので、広く胡(hu)涙(lei)と呼ばれた。この樹液が土や石にしみこむと固い物質に固まり、岩塩のようになり、梧桐鹸(wu-t'un kien)(wu-tu' unの木からできる天然炭酸ソーダ)Sterculia platanifolia

胡桐涙は歯の治療に欠かせず、この名称は、アクス(新疆ウイグル自治区)西域の名前である。木には小さな穴が無数にある。旅程では数日かかり、森に入るとこの木のほかに見かけられない。葉は桐に似ている。樹液はニカワのようで、根からにじみ出る。


この木はペルシャで育ち、胡桐は樹液を流し、石の涙が石から集められる、と付け加えている。

粛州(Su-Cou)の西に横たわる山や渓谷ばかりでなく、胡桐は平野や沼地に育つ。昆虫が侵食する樹木で、樹液が地面や石にしみ落ち、天然炭酸ソーダを生成する。樹木は高く大きい。木皮や葉は白いポプラやアオギリに似ている。クワ科に属し、hu t' unと呼ばれる。道具を作るのに適する。― 蘇恭

涼州(Kansu)(甘粛(Ganzhou))の西にあり、初めは柳に似ているが、成長するとクワのようだ。樹液は土壌にしみこみ、石になる。鍾乳石のようで、染色に用いられる。きわめて塩分が濃く、苦い。水を加えると溶け、明礬や硝石のようになる。冬の間に採取する。-『蜀本草』韓(Han)保(paoー)昇(sen)

この木には二種類あり、樹液がでる種類は薬典に載っていないが、石の表面に集まってできるstone-sapがある。これが薬になり、小さな小石にみえるが、ロス(黄土)のような黄色になり、歯痛の治療に用いられる。― 大明(TaMin) 970頃

西域の異人の間で始まり、商人が取引した。以前はそれほどでもなかったが、その後、歯痛に使われ、民間療法として認められるようになった。―蘇頌(そしょう)  『T'u kin pen ts'ao』


楼蘭の田舎では、タマリスク 檉柳(Tamarix chinensis ギョリュウ 御柳)・胡(hu)桐(t'un)・白(pai)草(ts'ao)がたくさんある。白草は牛馬の飼料になる。胡桐は昆虫に侵食されたようで、樹液が木から流れ出ると、胡桐涙と一般に呼ばれる。金・銀・合金のハンダに使われる。―杜(Tu)佑(Yu)(唐代の歴史家)

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